ヨミメグリ

子ひつじは迷わない 走るひつじが1ぴき

子ひつじは迷わない 走るひつじが1ぴき (角川スニーカー文庫)
玩具堂 (著), 籠目 (イラスト)

あらすじ

生徒の悩みを解決に導く「迷わない子ひつじの会」。そのメンバーである成田真一郎は、寄せられる風変わりな相談に大奔走!そんな時出会ったのが、生徒会室の隣を隠れ家にするボサボサ頭の仙波明希。ダラリと本を読んでいる彼女に、なにげに相談について聞くと、毒舌だけどとても的を射ていて―!?実は生徒たちに「子ひつじの会」が広まったのは、この仙波の活躍があってこそだった!―第15回スニーカー大賞“大賞”受賞。

感想

デレないひつじが1ぴき。
このままデレないほうがオモシロそう。

甘酸っぱくもほろ苦いミステリ風青春活劇でした。

生徒会に迷える子ひつじから寄せられた悩みは以下の4つ。
・ラブレターの差出人は誰か?
・自分の悪い噂を流してるのは誰か?
・小説の出題編から解答編を導き出して欲しい。
・自分は本当に両親の子供なのか?
そんな悩みに安楽椅子探偵よろしく話を聞いただけで解を導くのがデレないひつじ仙波明希。
しかしお人好しでおせっかいな主人公は、解を得たうえでどうすれば子ひつじに良い結果を与えるか考え奔走します。

ストーリーはそれほど劇的な展開はありませんでしたがキャラクター描写はしっかりしていて、全編を通して主人公たち主要キャラの深掘りや相関関係が描かれていくのが良かったです。
特に二人のヒロインが「他の人とは違う」という共通する感覚を持ちながらも周囲と接する生き方を相対的にし、それによって主人公も加えた関係が最後に「おお!」とちょっと驚く模様を見せました。
もちろん他のキャラたちも個性的で、穏やかそうだけど実は計算高い生徒会長(絶対Sで悪女ですね。そこがステキ!)、おっとりしてるけど侮れない文芸部長(百合なんですか!?)など一筋縄じゃいきません。
あと子ひつじたちとその周囲のキャラは他の話にもリンクしてる部分があったりしました。
改題前のタイトルは『なるたま~あるいは学園パズル』だったそうですが、それぞれのピースが今後どんな模様を見せるのかも気になるところです。