2月 18, 2012
ムニメグ

東雲侑子は短編小説をあいしている


東雲侑子は短編小説をあいしている (ファミ通文庫)
森橋ビンゴ (著), Nardack (イラスト)

あらすじ

何事にも無気力、無関心な毎日を過ごす高校生、三並英太。楽そうだからという理由だけで図書委員になった彼は、ともに委員を務める東雲侑子の熱のない静けさに、自分の空虚さに似たものを感じていた。しかし偶然彼女の秘密を知ってしまったことから、自分との違いを思い知らされる英太。だが、その秘密のために、彼女と距離を縮めることとなり、失ったはずの感情に胸を締めつけられていく…。早熟な少年少女に贈る、もどかしく苦いラブストーリー。


感想

鬱屈さは次第にエゴと恋のないまぜになって、気付けばそれまで感じていたもどかしさは全ていとおしさに。
その変化は、言葉を借りるなら「もう認めざるを得ないと思う」。ほろ苦いのに甘酸っぱいです。


思春期、反抗期。それだけではないですが、誰もが振り返れば多感な時期を持ち、または現在も抱えていたりするかもしれません。
今なら笑い話にできたり、顔から火が出るほど恥ずかしくなったり、後悔したり……
自分のことを挙げるなら、17歳くらいの時期に躁鬱が激しかったりした記憶があります。あーやだやだ思い出したくない。
ですがそれらも今の自分を形作る要素になったのだとしたら、そんなに悪くはないのかもしれません。

この作品の主人公は最初、無気力で鬱屈としていてあまり好きになれませんでした。
ちょっとしたことですぐネガティブになったりイライラしたり。東雲侑子の秘密を知り、「協力」をお願いされて距離を縮めるようになってからは、彼女のことでそれが発露します。本ばかり読んでいて何事にも無関心そうだった東雲侑子が何を考えているのか、自分は東雲侑子のことをどう思っているのか。エゴから恋への移ろいは緩やかで、どうしようもないもどかしさがありました。
でも主人公がそれを認めたとき、気付けばそれまで感じていたもどかしさは全ていとおしさに変わっていました。ほろ苦さがあるからこそ、甘酸っぱさが余計に際立つのならと。

幼い失恋によって失った感情を揺すり起こす主人公、新たに生まれた感情を不器用に育もうとする東雲侑子。
出会わなければ二人それぞれの物語は短編小説だったのかもしれませんが、二人とそれを取り巻く人々の物語が連なるこの作品は、とてもいとおしい長編小説でした。




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