騙王 (メディアワークス文庫)
秋目 人 (著)
あらすじ
何もせずに朽ち果てるくらいなら、口先だけで手に入れてみせよう。金も力も愛も、そして王座さえも…。ローデン国の第二王子であるフィッツラルド。第一王子を後継者にと考える国王からは疎まれ、その第一王子からは頻繁に刺客を送られ、茨の日々を過ごしている。しかし彼は決意する。相手が誰であろうと、騙りつくそう―すべては生き抜くために。頭脳と口先で自らの運命を変えた、ある少年の物語。第17回電撃小説大賞4次選考作。
感想
汚濁にまみれた白い花束はまるで王子を象徴するかのよう。
良き人間では生き残れない、そんな時代に自身さえも騙り登りつめた王子の悲哀を感じました。
良き人間では生き残れない、そんな時代に自身さえも騙り登りつめた王子の悲哀を感じました。
中世風の世界を舞台に繰り広げられる戦争、政争。
望まれぬ王子が傑物たちを相手に繰り広げる権謀術数、絶体絶命からの這い上がりは見事に痛快でした。
それら相手が一癖も二癖もあるのでやり取りが読んでいて楽しい。飽きさせません。
望まれぬ王子が傑物たちを相手に繰り広げる権謀術数、絶体絶命からの這い上がりは見事に痛快でした。
それら相手が一癖も二癖もあるのでやり取りが読んでいて楽しい。飽きさせません。
単純にサクセスストーリーと言う訳ではなく、騙し騙され殺し殺し合うという泥を被りながら生きる王子のダークな面が、やはりこの作品の魅力でしょうか。
最後に父王を騙るシーンは、私も気持ちいいほど騙されました。
そして、全てを手に入れたはずなのにどうしようもなく悲哀を感じるラストが印象的でした。